最初にすみません。売上を伸ばすマニュアルみたいなものはあるのですが、そうしたやり方については最後に補足でお伝えします。あくまで現場で感じて構築したものをお伝えしたいので、飛ばしたい方は最後の方を参考にしてくださいね。
✔手っ取り早くそんな手法があれば潰れる企業なんてありませんよね。しかしその手法を手に入れるきっかけになっていただければ幸いです。
経営者の仕事・儲かるシステム作り

事業を経営するにあたって最重要課題です
経営者が決めることはたくさんありますが、その中で最重要課題といっていいのが「儲かるシステムの構築」です。例えば「利益率が20%ない仕事は請け負わない」という決まり事なども含まれます。こうした決め事はキチンとした理由や基準がないといけません。
経理の数字の話ではありません
「収益を上げるビジネスモデル」とは経費を削減するとか、人件費を見直すなどといった話では決してありません。成長を続ける組織づくりの方法です。成長し続ける企業の共通点
まず取り上げるのがこちら。事業が組織作りの段階になったら意識してください。 (大手金融機関のアンケート調査結果です)- トップダウンでないこと
- 組織として同じベクトルを向いていること
- 常に人材に先行投資をしていること
トップダウン(ワンマン企業)の弊害
ただしそれだと大きな弊害が二つあります。- 組織として同じベクトルを向かないこと
- 経営者自身が成長できないこと
どうしてトップダウンが多いかといえば先ほども述べましたが「楽」だからです。指示や命令を出せばそれで済む問題ですし、そうした企業の従業員は自ずとイエスマンになります。(従業員も意見が通らないのでイエスと言っておけば意見を言うよりも楽だからです)ただし、これでは事業として思ったような成長曲線は描いてくれません。どちらがいいかは経営者自身で決めてください。
人材の先行投資には期間と金額を決める
✔人材への先行投資には期間と金額を決めておくことが大切です。「一般的に試用期間3ヶ月」というものがありますが、これは期間をしっかり設定している証拠です。 従業員を雇用すると仕事の能力でがっかりすることもありますし、情が湧いてきて甘やかすこともあるでしょう。ですから最初にしっかり試用期間を決めておくことをオススメします。また、もう少し投資したいと思ってもどこまで先行投資するか金額を決めておくべきでしょう。 これはお互いのためです。ですから採用の時にしっかり伝えておくべきです。人材が事業成長への大きな力になりますし、成長すればするほど必要です。何かに資金をかけるのでしたら人材にかけるべきです。これは会社を成長させるお金なのです。「せっかく成長してきたと思ったら待遇のいい企業に転職した」なんてこともあります。そんなことがあっても挫けずに素晴らしいチームを作るために懲りずに投資を続けて欲しいです。従業員がそういう選択をしたということは企業としてか経営者として従業員には物足りなかったということです。ショックを受けたり愚痴をこぼす前に、もっと魅力的な事業・経営者とは何か突き詰めて、今よりも魅力的になることです。経営者として成長するエネルギーに変えましょう。いつか気づかせてくれてありがとうと思えるはずです。
売上を上げる前に意識する基礎売上

売上向上への具体策
それでは事業内容に入りましょう。成長を続けるということは売上を向上していくということと同義語です。売上を伸ばしていく中で築き上げておきたい事業の基盤についてお伝えします。
事業継続の力となってくれる基礎売上を作る
新たな試みや資金のかかる戦略に出る時に、事業の足元が揺らいでいては事業そのものに危機を与えてしまうかもしれません。そうした心配を取り除くためにも売上の基盤はできるだけ作っておきたいところです。
ストック型をどこかに投入できないか?
✔過去記事でも紹介したストック型のビジネスモデル。事業のどこかに組み込めないか検討してください。ビジネス基盤の構築に一役買うはずです。その都度の売上ではなく定期的な売上のことで、たとえ現金売上しかない業種でもやり方一つです。会員制のお客様の導入や積み立て式サービス企画の打ち出しなど。売上の一部にそうしたものがあると事業継続の基礎になってくれます。お客様の負担になりかねないと二の足を踏む時は、それなりの特典を用意してください。
イベントごとの見込み客一覧表の作成
花見などの季節のイベントや、入進学・卒業などの記念イベント、誕生月や年代別での合同のパーティーなど。アイデアを出せばお客様の喜んで参加して頂けそうな企画はたくさん出てくるはずです。そうした独自のイベントカレンダーを作成して、そこに来店頂けるであろう見込み客の名前を書き込んでみてください。
✔そうした自分の肌感覚で作成したリスト(予想売上金額)は、経験から来ていますから大きく外れることはないはずです。
アナログな作業かもしれませんが、こうした一年を通したイベント(売上)カレンダーも事業の基盤になり力となります。
*企業が鈍足になる理由は不安から
来月の売り上げがどのくらいか予想できない。資金を使うとこの先心配だ。事業を成長させたいのに、一歩踏み出せない原因はこうした不安からでないでしょうか?こうした不安を緩和することができたら、事業の成長スピードも今より早くなるのではないでしょうか。上記のような要素を事業に取り入れて事業成長の加速剤にしていただきたいです。

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利益というものの正体

利益の伸び方
事業とは利益を追求するものです。そういう生き物です。
しかし事業成長に向けて、売上を指標にするのは従業員も含めてわかりやすい目標になるのでいいことです。忘れずに利益の大切さも意識付けてください。ここでは利益の特殊な性質と、今日から改善できる売上の伸ばし方の例をお伝えします。
利益は加速度的に伸びていきます
利益は売上に比例しません。利益の伸び方は加速度的です。当たり前のことですが、これこそが苦難にも耐えられる一つの要因です。
どういうことかと言いますと、固定費をカバーする利益が出た時点で売上に占める利益の金額割合が上がるということです。当たり前のことですがそれが利益の性質です。
例)
とても簡単な例ですが具体的に数字を入れてみましょう。
- 今月の固定費(何もしていなくても毎月掛かる費用:家賃等)を15日に捻出できたとします
- つまり15日時点で利益は0円
- 15日以降の利益は売上から流動費を引いた金額すべてです
- 15日までの売上は100万円。16日から月末までも100万円とします
- 原価は30%とします
- その他の流動費は売上の10%とします
- 15日までの利益は0円。16日からの利益は60万円
*利益は元気な動物です
利益は売上の伸び方落ち方よりも急激にアップダウンします。元気な生まれたての動物のように動きが激しいです 笑。事業は利益を追求しているので、動物のようにとても育てるのが大変なことがわかりますね。しかしこれこそが事業を経営する醍醐味でもあります。事業を成長させる・育てるということは簡単ではありませんが育て甲斐がありますよ。
売上を伸ばす手段

売上は作るもの
そもそも売上とは上がるものではなく作るものです。勝手に伸びてくれるものではありませんからどんな企業も試行錯誤しているのです。従業員に「売上を伸ばせ!」と檄を飛ばしても、具体的にどう作るか伝えないと伸びるはずがありません。それで伸びるんでしたらもうとっくに従業員も独立していることでしょう 笑。経営者が指示を出せるくらいの引き出しは持っていないといけません。
経営者は事業の核心部分を伸ばせる
経営者にしか伸ばせない分野があります。しかも大きな数字を握っています。経営者でしたら、取引先の担当者ではなく取引先の経営者と直接商談できる機会が多いと思います。つまり、原価に直接関わる商談ができるということです。売上の母数を作っていくことが現場で、掛け合わせる指数を作ることが経営者の仕事です。これこそが経営者の仕事です。
ポイントは人脈とその場で決めること
実際に大切なポイントは二つ。 ✔経営者同士の人脈を拡げることと約束をして商談をその場で取りまとめること。 人脈を拡げるコツは取引先の経営者と深い絆を結ぶことです。事業計画書を作って金融機関に面談に行く時くらいの事業への情熱やビジョンを思う存分語るべきです。取引先の経営者もまた同業の経営者と深いつながりがありますので、必ず人脈は拡がっていきます。 商談はその場で約束をしその場で決めることが大切。要望を聞いてもらいためにはこちらでできる限りの約束を提示してください。また、その後事業が順調に成長したらもっと大きな約束もできる旨をしっかり伝えてください。 とてもアナログなことですが、足を運んで会って伝えること。ビジネスがどれほどデジタル化しようと商談というのは人と人の約束です。会合という名の飲み会は避けるべきです
人脈に関しては事業に関係のない人脈は必要ありません。地域のサークルのような集まりやただの飲み会がメインのような集まりもあります。顔を売るには役立つかもしれませんが適度にしておきましょう。会合というかっこいいフレーズの、ただの飲み会への参加は経営者として堕落するだけです。
従業員は現場で伸ばしてもらう
従業員には現場で前述した売上の母数を伸ばすことに集中してもらいましょう。実際にお客様と接しているのは現場の従業員です。伸び悩んでいる原因は何か。基本的な部分を見直してみましょう。全ての業種がサービス業です
✔「どの業種もサービス業だと自覚しないといけない」もう20年以上前ですが尊敬する経営者の方に教えていただきました。 そうした意識を持った経営者の企業はしっかり成長しています。どこかあぐらを描いているような企業は取り残されていきます。税理士であっても何かのスクールを運営していてもきちんとした対応(接客)が求められます。360度の視点を意識する
接客とは言い換えれば気配りです。では、気配りとは何かといえば360度意識すること。「あの人は気が効く人だ」「目が届いている」とはまさしくこのことですよね。誰かと話していても常に後ろにも耳を傾けていること。言葉に置き換えるとこうなりますが、現場で気がついていない従業員を見かけたら、その都度伝えていくことが大切です。スピードは違いますがこの繰り返しが気が効く従業員へと導くはずです。
苦手なタイプほど進んで対応する
✔学校で気の合う仲間と友達になり、苦手なグループもいたと思います。 それと同じで、お客様にはさまざまな性格の方がいますから苦手なタイプの方もいるでしょうが、お金をいただいている以上プロでなければいけません。プロとはどんなタイプの方にもきちんと対応できるということです。克服する手段は苦手なタイプのお客様を担当することです。苦手なので失敗することもあるでしょうが、決して逃げないでむしろ積極的に担当してください。笑顔と挨拶で80点はいけます
お客様との第一印象で接客の80点はいけます。これは経営者の商談でも言えることです。具体的には笑顔と大きな声で、名前を知っていれば名前で挨拶してください。もう基本中の基本ですが、この基本が素晴らしい人にはやはりたくさんの人がつきます。人として引力がある人はこの基本を必ず持っています。自分がお客様の立場だったら嬉しい、心地いいと思える挨拶をすればいいのです。挨拶のとびっきりのプロになることが技術的な接客を学ぶよりも早いですしどんな教材を読むよりもお勧めします。
*事業は3回伸びる時がある
事業を経営していると急に売上が上がる時が3度あります。(利益の場合はもう少し早くきます)20数年前に起業した時に何人かの経営者の先輩に言われて、ことわざくらいに思っていたのですが実際そうでした。後から紐解くとその原因もなんとなくわかるのですが、実際はさまざまなことが絡み合っているので何か一つということではありません。結局は一つ一つを改善させていくことです。小さなこともとことん追求することが大切。3回実感出来るまで突き詰めていきましょうね。
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事業計画書の書き方のコツ
【補足】売上を上げる5箇条です

売上の中身を分析する
売上の計算式
売上の方程式は業種によって若干違いますが一般的には以下のようになります。- 売上=来店客数×客単価(飲食店など)
- 売上=来店客数×購買率×客単価(物販など)
実際に何に取り組むかが大切
こうした式はもちろん理解していた方がいいですが、実際の現場では具体的にどう取り組むかが大切です。僕の主観ですが、広告に頼った来店客数を伸ばす手法は最後の最後でいいと思います。
売上の伸ばし方の鉄則
売上を上げる要因
一般的に「売上の伸ばし方5箇条」と呼ばれるものは以下の通りです。- 新規顧客を獲得する
- リピーターになってもらう
- リピート率を上げる
- 顧客単価を上げる
- ワンランク高額商品を投入する
その他に取り上げられる要因
上記の5箇条に代わって取り入れられることが多いのが「友達に紹介してもらう」「クチコミで広げてもらう」「差別化を図る」など。どれをとってもそうなって欲しいことばかりですが、一つ一つ実際に実現することは簡単ではないので、例えば月単位の目標としてどれかにフォーカスして取り組んでいくのがいいと思います。取り組み方の例
抽象的ですが、取り組み方の例としてよく取り上げられる事例を紹介します。- 地域に根ざしたサービスに取り組む
- サービスのマンネリ化を防ぐ(企画)
- お客様の要望を聞く(アンケートなど)
- SNSなど取り組んでいないPRサービスを導入する
- ターゲットの年代を絞る
*教科書は必要な情報だけ憶えましょう
この章では一般的な手法を簡単に説明させていただきました。こうした教科書のように語られている手法は、自分の事業と照らし合わせて参考になるものだけ覚えておく程度でいいと思います。例えば「地域に根ざしたサービス」といっても事業を営んでいる地域によって環境は違いますしケースバイケースですね。
収益を上げるビジネスモデルの作り方のまとめです
今回は具体的な事例をいくつか紹介してお伝えしましたが、事業にはそれぞれ要点があります。力を注ぐべき点ですね。最初から何から何まで完璧になんて考えていたら前に進みませんから、優先順位を決めて要点を磨くことです。その後に改善すべきところは改善していきましょう。また、ここで取り上げたシステムは日常業務の決まりではありませんが、「出社したらトイレ掃除から始める」という決まり事もおそらく経営者が決めている(もしくは承認している)はずです。事業の全てのルールは経営者の判断ですから間違えることもあります。そうした時は気づいたらすぐ修正しましょう。「また社長は言ってることが変わる」なんて言われますが、より良い方向に修正するわけですからそれでいいのです。気分や好き嫌いで修正するのは論外ですが 笑。
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