「利益を最大限に出してくれて、お客様が喜んでくれる価格」
そんな価格設定が出来るかどうかは経営者の腕の見せ所です。
まずお伝えしたいのは安売りは決してしてはいけないこと。
経営するということは売上を作ることでなく利益を生むことですから。
弱気になって安売りをしてはいけない理由と、それぞれの業種で利益を生む価格の決め方についてお伝えします。
安売りをしてはいけない理由
- 品質がどんどん下がる
- 原価から単純に価格を決めないこと
- いつまで経っても利益は出ない
- 大資本に圧倒されて終わる
品質がどんどん下がっていく
「安ければ売れる」ある意味その通りかも知れませんが、どれだけ売ればいいのでしょう?
知名度もないからという理由で、自分の商品やサービスを叩き売りしてはいけません。
古着にしても、だし巻き卵にしても、ホームページの制作料金にしてもどんな業種でも同じです。
まず安売りに走るときに目に止まるのは原価です。
どんどん原価も下げていき品質も下がっていきます。
品質が下がると、サービスや商品にお金を払ってくれていたお客様がどんどん去っていきます。
結果、「安い」ということが好きな人だけ集まっていきます。
そしてまたさらに原価の安いものを探し出すのです。
原価から単純に価格を決めていませんか
飲食なら原価の3倍、建設業なら原価に利益15%足す、ネットならかかった時間を時給換算する、アパレルなら…などなど
そうした一般的な指標の意味は、全体プールしての原価のことです。
そんな単純な計算で一つ一つの価格を決めてはいけません。
儲かるサービスも利益の出ないサービスも混在しています。
利益の出ないもので代表的なものは、プラスワン商品だったり日頃の取引の中で無理を聞いてあげる場面などですね。
経営するということは、どんな商売も付加価値を売っていることを忘れてはいけません。
いつまで経っても利益は出ません
原価300円のものを500円で販売したら利益200円ですよね。
600円で販売出来たら利益300円。1,5倍の利益になります。
安売りすることは何とか400円で販売する努力をしているということ。
そこにかかる接客や調理時間などはほとんど変わらないにもかかわらずです。
商売としては逆向きに進んでいます。
そんなに自信のない商品なのでしょうか。
どれだけでも語れるくらいの自信のあるモノを販売しましょう。
600円の価値が伝わる経営を目指すべきです。
大資本と戦うことになる
安売り合戦の業界には必ず大資本という黒船がやってきます。
大資本には圧倒的なスケールメリットがあるのです。
仕入れ量が全国展開だと桁外れで当然原価で太刀打ちできるはずありません。
その上バリエーションも豊かですから「低価格」マニア向けの商売をしていたら悲しい末路しかありません。
利益体質の商売にしていく
「このくらい儲けたいから」と価格を決めるやり方も、考え方としては安売りと同じロジックです。
最適な価格とは「お客様が納得して購入してくれる」価格であり「利益もしっかり出る価格」です。
お客様が納得してくれる付加価値のつけ方を追求しましょう。
大手コンビニには付加価値がある
フランチャイズやチェーン店でも付加価値を生み出して経営しています。
大資本でもコンビニの商品は高いじゃないですか。
それは「便利さ」というサービスを売っているから高い販売価格でも勝ち続けられるわけです。
「どこに行ってもどこに商品が並んでいるかわかる」
「銀行に行かなくてもコンビニで済ますことができる」
イオンが掲げている戦略が「ワンストップショッピング」一箇所ですべての用事が済んでしまうというコンセプトです。
それの縮小版がコンビニだということです。
商品やサービスの2つのポイント
まず最初に、価値の伝えられない商品やサービスから見直しましょう。
強気の価格設定でも、自信を持って販売できる商品やサービスをラインアップに揃えることです。
Tシャツでも100円の物もあれば1万円以上する物もあります。
ホームページでも1万円で作る人もいれば100万円で受注する人もいます。
そこにかかる時間も原価も、100倍かかっているかといえば決してかかっていませんよね。
100倍でも納得する価値をお客様が見出してくれるからです。
そのために最初にするべきは、価値を伝えられない商材やサービスを捨てることからです。
もう一つのポイントは、こだわりがあっても売れないモノは趣味だということ。
需要がないものは、ビジネスの「商品ではない」と認識してラインナップから外しましょう。
どれだけ手間暇かけても、レアな商品であってもお客様が求めていなければただの自己満足ですから、そういうモノは趣味の世界だと割り切ることです。
客層を広げないこと
値段で決めるお客様はもちろん顧客にはなりません。
そうしたお客様が必要としているところが必ずありますから、取り入れようとして決して万人受けを目指してはいけません。
既存の顧客がレベルが下がったとがっかりするだけです。
いっとき裾野が広がったように感じるかも知れませんが、商売としては悪い結果しか待っていません。
今のお客様が納得し続けてくれるサービスに努力は向けましょう。
絞った上で増やす努力が正しいです
たまにしか利用しないけど「お寿司ならここ」「デザインならここ」と自分のお気に入りが誰にでもありますよね。
美容室でも靴屋さんでも頭に浮かぶところがあるはずです。
年に一度の利用でも、いつも営業しているということはファンがたくさんついているっていうことですよね。
まずは接客。ネット事業でも同じことです。
名前を覚えることも、かゆいところに気が利くこともお客様には伝わります。
ちょっとした不満なら口に出ないものです。こちらから細かいことも確認するクセをつけましょう。
次はサービス。物販なら仕入れの時です。
お客様の好みをしっかり覚えていること。商品仕入れならそのお客様へピンポイントでの商材を仕入れましょう。
よくドラマで「いつもので?」なんてシーンありますよね 笑。
大資本にも負けない付加価値がそこにあるということです。
お気に入りの寿司屋さんは、たくさんのお客様にできているいうことです。
従業員にもメリットがある
安売りが消耗戦と呼ばれるのは薄利多売で利益が薄いこともありますが、ただただ仕事が増えるだけだということです。
100円の服を販売するのにも、検品して品出ししてプライスつけてディスプレィして…1万円の商品と同じだけ当たり前に仕事があります。
利益が薄いということはかけられる費用も限られます。
従業員にとっても「こんなに忙しいのに給料が上がらない」「これだけ仕事できるならもっと待遇のいいところで」となりますよね。
付加価値をつけた価格帯で勝負するということは、従業員の幸せにもなるということを忘れないでください。
地元でちょっと名前も売れてきたら、胸を張って働いている会社をいえるでしょう。
ブランディングって呼ばれるやつですね。
ここまでなればまた次の目標を目指していきましょう。
最初に決めた価格を、あとから大幅に変更することは難しいです。
なるべく最初から低価格の設定は避けるようにしてください。
商品やサービスの種類が少なくても、強気の価格設定ができるもので始めることをオススメします。
忙しくて売上があるのが経営ではなく、あくまで利益だということ。
海外買い付けに行く時は、必ず古レコード店を回るようにしています。
どれも一ドル(120円)くらいですが、帰国後300円でも売れない物もあれば3,000円でもすぐ売り切れる物もあります。
きちんと3,000円の品揃えをしないで安いモノを混ぜると、全体的な魅力が安っぽくなってしまいます。
300円の売り上げを作るより、3,000円の売れ残りを経験して売れないモノを把握する方が正しいです。
安い方がもちろん簡単ですが、風が吹いて飛ばされるのも簡単です。
利益の出る販売価格の付け方のまとめです
- 安売りをしてはいけない理由
- 利益体質の付加価値の考え方
- 趣味とビジネスを分けて考える
- 客層を広げることではありません
- 今の客層で増やしていく努力に費やすこと
- 従業員の幸せにもつながっていく
どうしても売り上げが厳しい頃は安売りに逃げたくなりますよね。
最初は少ないお客様でも、値段以外のできるサービスは何かを追求した方が結果的に必ず成功します。
安売りは悪魔のささやきだと思って遠ざけてください 笑。