【キッチンカー開業から店舗運営へ】失敗者続出のワケ~原因を探ると2つしかありません

キッチンカー販売完全版!
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キッチンカーと店舗が相乗効果を生む条件

以前の記事でキッチンカーでの開業から、順調に業績を伸ばし店舗開業まで至っているケースが多いことを紹介しました。下克上のような逆転現象で現在もその流れは続いています。

しかしその後の運営を見ていると、残念ながら店舗を閉店してしまった経営者が多いのです。しかも短期間で。

失敗の原因は2パターン。「キッチンカーの運営と同じ感覚が抜けないから」「勘違いで自分を見失ったから」

今回はこれから店舗をと考えている場合や、キッチンカーで開業して次の目標が店舗運営の場合にポイントを伝えておきます。

店舗運営のこれからのスタイル

これからキッチンカー開業というタイミングなら「キッチンカー販売うまくいくかな〜」と心配になっているかと思います。
ハードルは低いので“やってみるべき”というのが僕のスタンスです。多少トラブルがあっても準備と覚悟があれば大きな問題はないはずです。

しかし、店舗となると全くの別物です。別の生き物だと思って下さい。同じ感覚でやったら必ず失敗します。

店舗を開くときは大切なポイントを押さえていて下さい。

飲食店舗の現在

コロナ禍が落ち着きを見せそうですがお客さんの動向は、外食を控える事が当たり前になったり今まで以上に衛生面を気にかけるようになりました。

コロナ以前のようには店舗にお客さんは戻って来ないでしょう。つまり以前の感覚で店舗運営を考えていたらどこかで必ず行き詰まります。

これから店舗を考えている人に何が弊害になるかといえば、飲食店舗を持っている先輩経営者のアドバイスは古い感覚の可能性が高いということ。参考になることは取り入れて、経営に関しては話半分の方がいいでしょう。古い例えになりますが、バブル期の経営者にバブル崩壊後にアドバイスもらっても参考にならないことと同じです。

これからの飲食店舗では販売ツールを複数持つ事が必須です。

販売ツールをたくさん持つ

販売ツールで必須なのが

  • 店舗販売
  • テイクアウト販売
  • 出前
  • デリバリーサービスの利用(自社商品)
  • デリバリーサービスの利用(ゴーストキッチン)
  • キッチンカー販売

キッチンカーの開業から始めたら、もちろんキッチンカーも含めてここまでは販売ツールを持って欲しいです。店頭受け渡しのテイクアウトと近隣への出前は定期的にメニューをポスティングしたらOKです。

UberEatsや出前館などのデリバリーサービスは、申し込みからサービス開始まで一ヶ月程かかるので早めの申し込みをお勧めします。ゴーストキッチンはネットで検索すると色んなサービスが出てきます。地域で取りまとめている業者もいますので検討してみて下さい。

ゴーストキッチンは初期投資の費用は様々ですが、基本的には原価の低いところを取り入れるべきです。ちなみにゴーストキッチンを始めるなら複数導入も全然アリです。

暇な時間を基準に雇う

どのサービスも忙しい時間は同じなので、正社員や長い時間勤務希望の方ではなく、短時間のアルバイトを雇用して対応しましょう。

人を雇う基準は暇な時間です。忙しい時に合わせる雇い方は間違いです。

昼に2人いないと回らないからといって閉店まで2人雇うのは間違いですよね?
暇な時間1人で回るなら、忙しい時間は1人で回らない分だけ短時間のアルバイトで対応しましょう。

人材への先行投資は大切なので葛藤するところですが、条件を決めて雇ってしまうと「やっぱり暇だから辞めて下さい」というわけにいきません。特にキッチンカーから店舗運営で失敗例が目立つのでここは慎重になりましょう。

店舗でない場合は一人でも出来る

キッチンカーでの販売が忙しくなってきたら仕込み場所が欲しくなります。最初は知人の飲食店舗の厨房を借りて始めるケースも多いので、そんなときは尚更です。

小さなスペースでストックができて仕込みと片付けが出来れば一人で十分できます。

一人の場合の販売ツール

仕込み場所で可能な販売ツールは下記の通り

  • テイクアウト販売
  • デリバリーサービスの利用(自社商品)
  • デリバリーサービスの利用(ゴーストキッチン)
  • キッチンカー販売

テイクアウトもデリバリーも出来ます。
テイクアウトは可能な時間帯を、デリバリーは営業時間の設定をすればOKです。デリバリーでかかる費用は販売に対しての手数料ですから家賃のような固定費がない分、短い営業でも構わないのです。

キッチンカーから帰ってきて、片付けと翌日の仕込み、事務仕事の時間を活用して営業していればいいでしょう。これなら一人でも販売ツールを広げてプラスアルファになります。

このスタイルの場合は、自宅でやる仕事は全て仕込み場所でやってはどうでしょう。その分営業時間にもなるので、「仕事に費やす時間は全てここで」という事で。

相乗効果を生まないと意味がない

そもそもお店を出す意味なんですが、本来は相乗効果を出すのが目的だと思います。「相乗効果」を言い換えれば「効率化」ともいえます。店舗・キッチンカーどちらの運営も効率化する事です。

もしかしたら、相乗効果をシミュレーションして始めてしまうケースもあるのではないでしょうか?キチンと運営したら大きなメリットがあります。何に対してかといえば全てに対してです。

キッチンカーメニューから営業スタイルを探る

キッチンカーで扱っているメニューからどんな店舗になるかは想像できますよね。あくまでも店舗だけの仕入れは極力避けて、キッチンカーメニューと関連づいたサイドメニューを扱うと仮定します。

昼と夜の混み具合を表にしてみました。
時間帯によって売上の波が激しい業種は▲、波があまり無いのを○とします

キッチンカーメニュー昼営業夜営業売上の波
唐揚げ
クレープ
カレー
たこ焼き
コッペパン

人件費・人材育成の相乗効果

相乗効果で一番わかりやすいのは人件費になります。まずは仮で一週間のシフトを作ってみましょう。同時に時間帯別のシフトも作成しましょう。

上の表でカレー屋さんだとします。
昼も夜もある程度忙しい店舗ですが、カフェ代わりに利用されることはあってもランチが終わった後は夜までほぼアイドルタイムでしょう。

昼はバイト2人。夜はキッチンカーから帰ってくるのでバイト1人。若しくはランチ営業後はクローズでキッチンカーから戻ってから夜営業。バイト無しでもいいでしょう。

具体的に業務で相乗効果を狙うのは仕入れと仕込みになります。発注は夜自分で業者にFAXなどで注文。バイトに受け取りをしてもらい、ランチの前後で2人で回しながら仕込みや翌日のトッピングの準備などを行うスタイルです。お店の消耗品はキッチンカースタッフ(自分)が、営業後に買い出しして帰れば余計な時間も取られないでしょう。

先ほど挙げた販売ツールはどれも活用できます。

スタッフのモチベーションやキッチンカーも同じお店という意識をつけるのに、自分とバイトを入れ替えてキッチンカーにも乗ってもらいましょう。店舗を運営しているとお客様の細かい要望も聞けますし、売上のデータからキッチンカーメニューの入れ替えにも参考になるはずです。

昼のスタッフに仕入れが必要な食材をメモか何かで夜のスタッフ(若しくは自分)にキチンと伝わるような仕組みを作って下さい。これはお客様からいただいた要望など小さな事でも伝わるようにして下さい。キッチンカーと店舗がリンクしている事が相乗効果が生まれる必須条件です。

仕込み場所の延長で考える

お店を出す事で一番構えてしまうのが経営者かもしれません。大きな事を成し遂げたわけでもありません。仕込み場所の延長くらいの立ち位置で捉えておきましょう。

お店だからといって特別変わったことをしてみる必要はありません。キッチンカーの仕込みを行いながら営業もしているんだという感覚の方が健全に運営できるでしょう。

食材ロス軽減・メニュー開発にも効果あり

今までキッチンカーの営業が終わったらロスになってしまった食材を店舗で有効利用できます。アルコールを飲むお客様にお通しを付ける時には最適です。

そしてよくあるのが、逆にキッチンカーで思いがけず早い時間に売れてしまって食材が切れてしまった時も、出店場所が遠くなければ補給もできます。見落としがちですが、販売が好調な出店先で販売機会ロスを起こさないのも大きなメリットです。

店舗ではお会計の際のちょっとした会話の中や、常連さんもついてきますのでこちらから聞けば貴重な意見をいただける事もあります。店舗側に立つと見落としがちなお客様の要望はとても貴重です。キッチンカーにもフィードバックして改善に繋げられます。

フリーのお客様がほとんどのキッチンカーではお客様からの意見や要望は入ってこないので、改善点も含めて共有できるのも大きな利点です。

新メニューも、店舗で月替わりに出してみてデータを取ってキッチンカー販売に繋げられます。カレーなら激辛が人気なのか、キーマなのか、バターチキンなのか、成績のいいメニューを投入することで相乗効果が生まれやすいです。

販売ツールの多様化で固定費負担を分散させる

これまで店舗営業だけで固定費(家賃など)を賄っていましたが、キッチンカーやデリバリーなどの複数の販売ツールを利用して負担を分散させるようにしましょう。

仕込み場所としての活用の他に、アイドルタイム(暇な時間)や事務仕事の時間も有効に活用できます。どれだけ売り上げがあっても無くても同じ費用なので「最大限に収益を上げる場所」として使用して下さい。

ありがちですが怖い勘違い

今回の記事を書くきっかけの一つは社長気分の勘違いをよく見かけたからです。そんな小さな勘違いでお店を無くしてしまう結果になります。

小さなお店を持ったところで世の中のほとんどの人はそんなこと知りませんし、知ったところで大したことで無いのです。一番悪い影響が出るのはスタッフに対してです。気がつかないうちに上からというか高圧な態度になるようです。そうなってしまうと相乗効果どころか、キッチンカー販売だけに戻っても悪い影響しかありません。世間的には「お店を潰した人」というレッテルが貼られます。取引業者の信用を取り戻すのも至難の業です。

バイトで来てくれていた人からも当然いい噂は聞こえてこないでしょう。ほんの小さな勘違いですが、致命傷になりかねない怖い勘違いなのでくれぐれも気をつけましょうね。

浮き足立ってしまうようでしたら、まだお店を構える時期では無いかもしれません。

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店舗運営という別の生き物

もう一つ失敗の原因はキッチンカーと店舗の運営が全く別物だということ。

これまでも何度か記事にしてお伝えしてきました。いろんなサイトでも紹介されている事ですね。きっと頭には入っているはずですが…すぐ閉めてしまうのが目立つのも気になるところです。

キッチンカー販売だけのメリット

キッチンカーの運営をはじめたばかりの頃の心配といえば「出店先」や「メニュー」が大半です。キッチンカーの見た目や接客も、取り組むべきことに集中していれば日々進化していくから大丈夫です。

最初から「自動車保険払えるかな〜」と心配になることはあまり無いと思います。けれど店舗となると保険のような心配がたくさん出てきます。

固定費の比較(例)

ここでもう一度固定費について見直してみます。
より具体的になるように架空の金額も入れてみます。

勘定科目キッチンカー金額(例)店舗金額(例)
家賃✖️0150,000
人件費✖️0300,000
光熱費(電気)✖️040,000
光熱費(ガス)✖️025,000
光熱費(水道)✖️015,000
ゴミ処理費✖️06,000
損害保険18,0004,000
駐車料15,00020,000
通信費15,0005,000
合計48,000565,000

この他に流動費(材料費やガソリン代など)が掛かりますが、売り上げに比例して掛かる経費なので割愛します。ここで取り上げる費用は売上金額には関係なく毎月定額でかかる費用(固定費)です。

比較表の説明

上記の例の内訳ですが次のようなパターンで出しました

  • キッチンカー光熱費:仕込み場所の光熱費は省きました
  • キッチンカー損害保険:車両保険とPL保険を計上
  • キッチンカー通信費:携帯電話は営業ツールなので計上
  • 店舗人件費:1,5人くらいで計上
  • 店舗駐車料:お客様駐車場またはスタッフ駐車場として計上
  • 店舗通信費:固定電話とwi-fiで計上

※仕込み場所に光熱費込みでいくらか支払う場合は48,000円にプラスしてみて下さい。

売上で逆算してみる(損益分岐点)

扱っているメニューの原価が30%とします。粗利が70%ですね。

  • キッチンカーの固定費48,000円を捻出するには、
    48,000÷0,7=約68,600円
  • 店舗の固定費565,000円を捻出するには、
    565,000÷0,7=約807,200円
  • キッチンカー・店舗どちらも賄うには固定費を合わせて613,000円必要ですから
    613,000÷0,7=約875,800円

実際は消耗品(ティッシュやゴミ袋など)や衛生費(消毒液や手袋・マスクなど)も掛かりますし、店舗の場合は従業員に福利厚生費も少なからず掛かります。

食材のロスもあるので、原価も当初の原価計算よりは少し上がるはずです。

キッチンカーの出店数に比例してガソリン代や出店料も計上になります。

そんなに忙しく無い店舗を想像して金額を書き出しましたが、毎月100万円は売らないと資金はショートしてきます

キッチンカー販売だけしていた時は10万円も売れば毎月の固定費はクリアできていたはずです。月の最初の一週間で十分クリアできて、残った利益で車の備品や貯金に充てていたはずです。

損益分岐点を意識しなくてもよかった

「損益分岐点を意識しなくても知らず知らず毎月クリア出来ていた」

キッチンカー開業して、そういう人も少なく無いはずです。
そのくらい固定費のかからない事業なのです。

あくまでもキッチンカー販売だけのメリットです。

お店を始める時に損益分岐点を伝えても実感が湧かないかもしれませんね。それまで考える必要がなかったのですから。知識としては理解できても実際に体験しないとわからない事もありますからね。

例えばキッチンカーに飾りたい500円の小物を買うにも、今までなんとなく買っていた買い物が月に100万円売ってからでないと買えないって事です。

【キッチンカー販売】逆転現象に乗る!その②~1つだけの要注意編
前回の記事では既存店からキッチンカー導入の流れが逆転していて、キッチンカーからはじめて実店舗を持つという流れが押し寄せて...

「新しい事業に挑む」か「仕込み場所」どちらかで

しつこいくらいに固定費の違いを書いてますが、店舗を開くことを決めたらまずは

「相乗効果を上げるために徹底的に戦略を練ること」

店舗を開く理由、メリットはこの相乗効果があるからです。

実店舗運営に関しては

  • まったく新しい事業をはじめる
  • 仕込み場所を作る

どちらかの意識で始めましょう。キッチンカー販売の店舗版とか延長線上という認識だと上手くいきません。

なぜすぐ閉店するのか

「ダメだったら傷口が広がる前に閉める勇気は正解!」

基本的に僕はこの考え方です。
見栄を張りたかったり、ビジョンもなくダラダラ赤字を垂れ流すくらいだったら早く決断するに越したことはありません。

商売をしていて思い通り上手くいくことは10回トライして2回もあればいい方でしょう。そのくらいトライアンドエラーの繰り返しです。気が進まないことでしょうが、8回の失敗の原因を把握して初めて経験値となります。

しかし、「キッチンカーから店舗展開→閉店」のムーブが早すぎます。
明らかに安易に開店してみる。店舗を閉めることへの責任、信用を失うことを軽く捉えている気がしてなりません。雇用が発生していたら尚更です。

経営者として信用を失うことは致命的です。回復には何十倍もの時間と信頼の積み重ねが必要になります。それか信用は二度と戻ってこないかもしれません。

大企業でも零細企業でも取引が発生するのは人と人の信用なのです。経営者に必要なのはノリの良さでも人の良さでもなく、結果であり信用です。

失敗は全然構いません。何もしないより前進だと思ってます。
ただちょっと失敗の質が低すぎます。
失敗するにしてもしっかりビジョンを持って目標を決めて、やれることは全てやった上での話です。

特殊な弊害な気がします

今回の記事はすっかりおじいちゃんの小言になってしまいました 笑。

僕の周りで半年くらいで「キッチンカー販売から店舗開店、そして閉店」という事例が多すぎたので取り上げました。キッチンカー販売のメリットが大きすぎて、店舗も同じ感覚で始めてしまうのだと思います。

キッチンカー販売にメリットがあるからこそ起こる弊害だと感じています。

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