キッチンカー販売のはじめ方から、出店先の探し方や事業発展のスタイルをいくつか紹介してきました。成功例として紹介したいモデルケースがまだまだあるのですが、こちら北海道も一気に雪解けが進み忙しくなってきたので、記事の更新もままならなくなってきました。(現在2023年3月26日)
最終的に詳しく紹介しようと思っていた「ドミナント戦略」について概略だけでも紹介します。当社の展開もまさにこの戦略で2つの拠点で運営しています。
経営にはいろんなスタイルがあり、時代の流れも早いので正解はありません。あくまでも現在の状況において飲食業での最善策と捉えています。
キッチンカー開業から2年もあれば実現可能です。
もし参考になり、不明な点がありましたらご連絡ください。当社のやり方でよければ全てお伝えいたします。また、追って記事の方でも詳しく説明していく予定です。
ドミナント戦略とは弱者の戦略
2年ほど前に取り上げたドミナント戦略。ちょうどあれから2年ほどで当社も構築してきました。
記事を書いたのが緊急事態宣言中で飲食店の生き残り策として取り上げましたが、零細企業の経営戦略として昔も今も効率的な戦略です。
一言で表現するなら「弱者の戦略」です。
起業したての名もなき零細企業からのスタートですから、将来的な目標を持つには参考になるはずです。資本力が大きい企業への対抗策ともいえます。
ドミナント戦略の解説
以前の記事のおさらいになってしまいますが、ドミナント戦略について簡単に説明します。出店戦略のことで、一言でいえば「小さなフィールドに集約させる」ということです!
特定のエリアで優位的な立場を築くということです。さらに波及効果として事業の相乗効果も生まれます。目を凝らしてみると、飲食店に限らず身の回りの様々な業種で取り入れられています。
ドミナント戦略で大切なポイントは1つ
三国志や戦国時代のゲームや物語は好きですか?もし好きでしたら、自分が小さな領地の武将だと思ってください。いつ名だたる武将が攻め込んで来るかも知れない立場です。
まずこれがないと話にならないのが「率いる兵の士気」です。
現代でいうと、大手や大資本が来ても耐えられる頑丈な城を作ること。
そのために最も大切なのが「人(スタッフ)」です。
士気が上がっていないと、どんな戦略が出来上がっていても絵に描いた餅です。
※参考までに、雇用については過去に何度かに分けて触れています
コロナ以降のドミナント戦略
2021年より弊社で行なってきたドミンナント戦略で意識したのは、姉妹店を一ヶ所に集約させるだけでなく「販売ツールを最大限に拡げる」ことです。
今までよりもさらに環境が悪化したフィールドで戦うのに、今までは通用したやり方だけでは心もとありません。現在の環境にマッチしたスパイスを加えて改良しなければいけません。
大手チェーンの実力
コンビニや吉野家などの大手ナショナルチェーンの実力は凄いものがあります。チェーン店だから味が悪いとかコンビニだから値段が高いとか、そういうレベルではありません。
商品開発と価格の企業努力、洗練されたサービスの導入など目まぐるしく改善改善の連続です。
そうしたサービスや価格、商品に対抗することではありません。
全く別の事業と捉えて個性を出さなければいけません。
規模が小さいからこそ出来るサービスはやはり地域に根付くということ。
顔馴染みのリピーターを獲得する接客を身につけること。
零細企業だからこそ一人一人のスタッフに細かく指導できます。
スタッフにお客様とより近くなれる接客のプロになってもらう事です。
この記事を読んでいただいているあなたはどちらにお住まいでしょうか?お住まいの地域ではアルバイトや社員を雇用するのにどのくらいの賃金が妥当でしょうか?
こちらは北海道でかなり所得が低く、人を雇用するにも首都圏の半分以下の賃金で雇えてしまいます。従業員の賃金は経営者の独断と偏見で決めるのですが、大抵の場合は周りの経営者や募集を参考にします。
経営して3年目くらいで気づいたのですが「北海道は日本の東南アジアのような環境なんだな」と。人件費も土地代も安く、国内の大手大企業からしたらまさにそういった仕事を振られるわけです。三菱や日立などの巨大な水道管の製造工場が地元にありまして、工場は20数個あったはずです。市内では大きな会社だと思っていたのですが、大企業からしたら安い人件費で納期まで保管しておいても地代が安くとても便利なわけです。まさに同じ日本で立場が全然違うわけです。
余談が長くなりましたが、賃金に対する意識が変わりました。高卒の新人でも年収500万くらい支給できるような企業を目指そうと。安い賃金で搾取するような経営をしていても、どこに行っても通用しないし経営者として道が逸れているなと。
ちょっと長くなりましたが、最初から高賃金では雇えませんが、一緒に苦労して大きくなっていく過程で首都圏並みの賃金を支給できるような企業を目指して欲しいです。
地域の人気店になるには
キッチンカーの仕込み場所、最初はテイクアウトだけのお客様との繋がりでも構いません。小さなフィールドでほんの僅かなリピーターがいるお店からスタートです。
どんな人気店も最初は同じです。そこからは人気店になるスピードと仕組みを構築する事が大切です。
見込み客から信者へ
お客様がお店に「ここだけ」の価値を見出してくれると、気に入って頂けるようになり、月に一度から週に一度、毎日のように訪れてくれるようになります。
呼び方を変えるなら以下のようになります。
- 見込み客
- 購買客
- リピーター
- ファン
- ヘビーユーザー
- 信者
上のリストはお客様の育ち方が順に書いているわけですが、下に行くほどハードルは下がります。
「見込み客」から「購買客」、「購買客」から「リピーター」というこの二つのハードルが一番高いです。
実際に運営していくと、お店の信者のように毎日顔を出してくれるお客様もできるはずです。ここまでお店と共に育ってくれる大切なお客様を大切にすることと、その数をいかに増やせるかはアナログな接客にかかっています。
接客と書いて気配りと読みます
小さな店舗が人気店になっていく過程には必ず「人」が大きなポイントになります。接客を通したお客様といかに繋がっていくかが最も大切です。
こうしたことはマニュアルではありません。
いかに気配りができるスタッフになってもらえるかです。
仕事が忙しくても、もちろん足を運んでくれたお客様第一です。自分の仕事は当然後回しです。何か一つ情報を提供したり、お客様に有益なことがないか常に考えること。どんな些細なことでも構いません。
お客様が大切だと感じて接していれば不器用でも必ず伝わります。
変なテクニックは使うべきではありません。(いつかバレます 笑)
ご来店いただいたお客様にサンキューレターをつけても、印刷されたものをマニュアル通りにつけたところでお客様が喜ぶでしょうか?僕なら、かえって覚めてしまいます。無いほうがいいですね。
サンキューレターなら例え面倒でも手書きでなければ意味がありません。こういったことこそ、小さなお店でお客様もまだまだ少ないからこそできるサービスです。
小さな点を小さなフィールドで繋ぐ
こうした努力でお客様がついてきてくれたら、ドミナント戦略に入ります。
お客様の流れを点で終わらせるのではなく、小さな店舗で構わないのでこちらで用意することです。
形態の違う店舗を用意しましょう。
具体的に弊社の例を挙げると、
- カレー専門店(キッチンカー・デリバリー有り)
- 小料理屋(デリバリー有り)
- バー
上記の店舗を小さなフィールドで展開しています。お客様にとっては歌が好きな人もお酒が苦手な人もいます。次作る店舗も、なるべくお客様目線で選択肢があるように展開していこうと考えています。
もう一箇所は
- 焼肉店(キッチンカー・デリバリー・出前有り)
- 喫茶店(ゴーストキッチン・仕出し有り)
- バー
同じ市内で繁華街と郊外と二か所で展開しています。まだ離れた郊外型もできると思いますが、次は違う街で展開する予定です。
進む時にもう一度確認してください
前述しましたが、実際にドミナント戦略を取る時に、やっぱり間違えやすいのでもう一度確認してみてください。
ハンバーガー店を営業していて、マックの価格を意識して価格競争を始めても勝ち目はありません。決して飲食店に限った話ではなく、子供服販売をしていて、しまむらチェーンや西松屋と価格競争をしても勝ち目がありません。
大手との価格競争という消耗戦には決して参入してはいけません。零細企業には零細企業の運営方法があります。
いつどこのお店に入っても安心で使い勝手がわかっているコンビニや大手チェーンは、どんなお客様でも利用しやすくなっています。
素晴らしいシステムですが、大資本で大手だからこそ構築できるシステムです。
同じシステムを目指しても幅広い認知度が違いますので、このフィールドで戦ってはいけません。
既存店がある経営者の方へ
外出自粛やリモートワークなどは外食産業には大きな痛手となり、これからも以前と同じ感覚の運営では生き残れない時代です。今までの少なくとも3割減の売り上げで運営できるスタイルを見つけ出さなければいけないでしょう。
お客様の動向が、一昔前の状態に戻るまで貯蓄を食い潰して続けることは得策ではありません。
時には撤退(廃業)するのも勇気ある決断だと思います。
事業を伸ばすために、キッチンカー導入や異業種への転換などいろんなやり方があります。
現在の店舗を中心に作り上げていくのなら、ドミナント戦略もぜひ視野に入れてみて下さい。
経営とは面白いものです。この記事を読んでくれたあなたか、身の周りの小さな企業が近い将来とんでもない大企業に育つのを目撃するはずです。
僕の身の回りで言えば、例えば「クスリのツルハ」。ラーメンで言えば「山頭火」などは地元の小さなお店でした。他の商店やラーメン屋さんとの違いを探すことが出来ないほど特徴もなく地域一番店でもありませんでした。それが5年経ち10年経ち、気がつけばどこに出張に行ってもあるわけです。
またその反対もありまして、中古本の買取販売をいち早く始めた企業がありました。まだこうしたサービスが世間一般的でない頃からです。このビジネスモデルを早くから築いていたのに、気がつけばブックオフなどのチェーン店が出来て淘汰されてしまいました。
100圴やリサイクルショップなどもその前身となるお店はありましたよね。
今は何も感じなくても時間をかけてしっかり力をつけて身を結ぶ企業が出てきます。具体的にどんな戦略があったのか、どんな取り組みを実行していたのかは側から見てもわからないものです。
いろんな経営戦略があるでしょう。
うまくいかないことの方が多いです。
事業は生き物で、おまけに常に変化する気難しい生き物です。
いわば海のようなもので、スタッフを乗せた船の舵を握っているのがあなたです。
船の進路を決めるのは経営者の一番大切な仕事です。あなたが決めた進路に向かってスタッフが一生懸命舵を漕いでくれるのです。
新大陸に向かう航路を取れるように、アンテナを張って自分なりに解釈して判断をするのはあなたです。