事業を立ち上げて必死に売り上げを作っても、収入があって支払いをしての繰り返しで、自分の会社は儲かってるのかどうかよくわからないっていうことがよくあります。
そんなはずないと思うでしょうが、実際に起業してみると陥りやすいんですよ。
資金繰りで頭を悩ませると事業に専念できなくなる悪循環のはじまりです。
今回はそんな迷路に迷い込まないために、支払いについての簡単な考え方をお伝えします。
意識しているだけで心配なく事業に集中できるはずです。
10日ごとに3回クリアする
お金の管理方法は以下の3つに分けること。
商売の基本中の基本です。いたってシンプル。
それぞれの費用の考え方がありますので説明していきますね。
- 10日までに人件費を貯める(人を雇う基準)
- 20日までに経費を貯める(借入金も含めること)
- 残りの10日が所得です(最も使い方が大切)
給料は10日(何があっても貯めましょう)
事業をはじめると「毎月いくら利益を出せばいいのか」というふうに考えがちです。
これこそが迷路に迷いこみやすい考え方です。
細かい経理は置いておいて、経営者が意識することは最初はこの三段階だけでいいですからしっかりクセをつけてください。
まずは10日まで人件費
月の最初の10日間で人件費を貯めるクセをつけてください。
貯まるまでいい話に飛びついて使っちゃダメですよ 笑。
そういう時は「20日まで考えさせてください」と返事してください。
無理なら雇ってはいけない
10日までに人件費が出ないようでしたらまだ雇ってはいけません。
どんなに忙しくても、まだ雇える身分でないと自分に言い聞かせてくださいね。
どうしても雇いたいなら、経営者はいくら働いてもいいのですから人件費が出るまで自分で働いて捻出するべきです。
支給日は関係ないです
給料の支給日が20日でも月末でも翌月でも関係ありません。
締日支払日という考え方をすると「まだ期日まで時間がある」という甘えにつながりますし、混乱するきっかけになります。
「10日まで人件費を貯める」ということが原則です。
自分の分は含めない
注意して欲しいのは経営者自身の収入はまだ後だということです。
個人事業主が間違えやすいところなので気をつけてくださいね。
たとえ10日前に貯まってもダメですよ 笑。次は20日までの目標がありますから。
経費は20日までに貯めることです
人件費が貯まったら次は20日までに経費を貯めましょう。
さらに借入金があれば返済金も入れてください。経費ではありませんが資金繰りなのでそうしてください。
大切なことなので一緒に貯めてくださいね。
貯めなくていいもの
毎月同じくらいかかる(固定)経費から変動する経費までありますが、ここで除外して(貯めなくて)いいのは「広告費」と「交際費」です。
理由は後ほどお伝えします。
現金でなければ仕入れも入れてください
仕入れが現金でない場合は仕入れの分も20日までに貯めてください。
アパレルなどの仕入れが月によって偏る業種の場合は、単純にシーズンなどで割って月計算して今月貯める金額を決めましょう。
借入金も含めること
借入金は経費ではありません。(正しくいえば利息部分は経費になります)
経理上のことは無視して、20日までの貯金に借入金の支払いも入れてください。
資金繰りですから除外しないでここで貯めてくださいね。
資金繰りの考え方
ある程度毎月の経費はわかるはずなので、「何を貯める」ではなくて「いくら貯める」と覚える方が簡単でいいですよ。
細かい消耗品(ティッシュからゴミ袋まで)などの、金額もある程度含めておいてくださいね。
最後の10日が所得と投資
残りの10日でようやく自分の収入がやってきます 笑。この残りの収入の中から捻出する経費があります。
自分の収入を削ってまで掛ける費用について説明します。
貯蓄は経営者の義務です
少なくても多くても「貯蓄」は必ずしましょう。商売をしているといつケガをして収入がなくなるかもしれませんし、どんなトラブルがあるかも分かりません。
人を雇うと予期せぬトラブルで対処してあげる場面もあります。
堅実とかそういうことではなくて義務だと思った方がいいです。
広告費と交際費もこの中から
残り10日分から捻出する経費は「広告費」と「交際費」です。
どちらも効果が分かりづらく経営者のさじ加減になりやすい経費です。交際費に関してはプライベートな部分も入ることもよくあります。
ですからあえて自分の収入を削る感覚で捻出して欲しいのです。
そんな経費はありませんが「社長経費」と呼べるものがあれば追加して下さい。
なぜ広告費も入るのか
経営をしていて広告費と借入というものは麻痺してしまう項目なのです。
楽になりたいから借り入れをするのがクセになってしまう。
不安だから広告をとりあえず打っておきたくなる。
本当に必要かどうか判断するためには、自腹を切ることが一番いいので残り10日の項目に入っています。
20日までに借り入れが入っているのは返さなければいけないからです。広告費は削ることができますからね。
簡単そうに述べていますが、この3つの区分できちんと貯められるようになるまでが大変です。(特に20日の分はなかなか貯まりません)
しかし不思議なもので一度出来るようになると次からは簡単にできます。
売り上げもそうですが、一度ある壁を超えてしまうと落とすことがなくなることはよく体験することです。
経営者にとってはこの壁はなかなか難しいかもしれませんが、意識していれば余計な支払いにも気づいてできるようになります。
ぜひ取り入れてくださいね。
資金繰りが回らなくなる前に
事前に確認できる方法も知っておきましょう
日々の収入と支出だけをみていると、どのタイミングで資金が回らなくなるのかわからないものです。
安心して事業に専念できるようにする簡単な手段です。
それでもなかなか解決できない問題もありますね。もう少し紹介します。
経営者の収入
手元に残ったお金が経営者の収入ではありません。
前段で触れた「社長経費」。交際費の他にも「福利厚生費」や「車両費」事業形態によっては「家賃」も含まれているかもしれません。
経営者の携帯料金も経費に入っていることでしょう。「仕入」にも入っていることもあります。
こうした「社長経費」を知ることで、本当に必要な経費を削ることなく資金繰りを改善できるようになります。
簡単なキャッシュフローを
締め支払いがある商売の場合はキャッシュフローが必要です。
いざキャッシュフローを作ろうとすると最初は拒否反応がありますよね。
ですから翌月入金・翌月支払いだけ分かっていればいいです。
借入の増減や減価償却、売掛の増減も買い掛けの増減も最初は無視して下さい。
大切なのは資金が回るかどうかですから、理解が深まってから覚えていけばいいことです。
資金繰りが回らなくなると、まずは事業活動も鈍くなり悪循環です。月末は資金繰りで頭がいっぱいになって何も手につかなくなります。
そうした負のスパイラルに陥ると世界が狭くなり、いいアイデアも改善する発想も出てくるはずがありません。
とても簡易的な方法ではありますが、精神的に健全に経営する手段として意識して取り入れて欲しいです。
儲かる会社の資金繰りのまとめです
資金繰りの考え方なので、細かい(正確な)経費の意味についてはこの記事では説明しませんでした。
能力はあっても資金に詰まると思う存分発揮できませんので、まずは資金の心配をなくすことが先決ですね。
意識するところから始めてみてはいかがでしょうか。
- 10日ごとのサイクルで貯める
- 経営者の分は最後です
- 「社長経費」は自腹を切って検討すること
- 貯蓄することは経営者の義務です
- キャッシュフローは収入と支出だけに絞る