【原価低減とは】業種別の売上原価を改善するポイントと具体例

飲食業(居酒屋・バー)
事業を経営するのに大切な指標の原価率。業種によって適正と言われる原価率は様々です。マッサージやエステ、美容室などの美容関係は原価にあたる仕入れはほとんどありません。代表的なサービス業ですね。こうした時は人件費を原価と捉えて経営していくべきでしょう。一方、原価率の高い商売は切実な問題です。今回は、私の経営してきた「飲食業」「アパレル(小売)業」「ネット事業」それぞれのポイントをわかりやすくお伝えします。
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各業種の原価率と人件費を改善する

各業種の原価率と人件費率の動向

原価率と人件費率の目安

今回取り上げる業種の原価率と人件費率の目安は以下の通りです
(利益を生むのが前提なので足しても100%にはなりません)

業種 原価率 人件費 固定費
飲食業 33% 30% 20%
アパレル(小売業) 70% 15% 10%
ネット事業(小売除く) 5% 0% 5%

飲食・小売・ネット事業の特色

飲食に関しては三分の一原価という認識が一般的です。メニューにもよりますが起業するならこの指標を参考にしてください。原価管理が大切な業種の一つです。

アパレルは原価が高くて大変そうに感じるかも知れませんが、売り上げ金額が大きいので他の業種と「率」だけで比べても意味がありませんが、原価管理は特殊で経営者の采配に一番左右される業種でしょう。

ネット事業に関しては原価というのは気持ち程度に載せましたが、ほとんどかかりません。自分一人で起業して始めるのであれば人件費もゼロです。原価管理という業務はありません 笑。ただし、リスクはありませんが売上を作るまでが大変なのです。

各業種の人件費について

人件費に関しては昔から「飲食業30%・小売業20%・サービス業60%」といいます。

  • 飲食業は昨今のコロナ禍による業界全般の落ち込みから30%は掛けられないでしょう。これから企業を目指す方は見積もる人件費はもう少し低めに設定しておくべきです。
  • 小売業は少し前から人件費は縮小傾向にありましたが、今後ますます抑える方向にです。これはネット通販での売上割合を高める取り組みから自ずとそうなっていきます。
  • ネットビジネスは人件費というよりも外注費ですね。必要な作業をネット上で募れますので、サイトや動画サービスなどどこまで外注に委ねるか経営者の判断次第です。(下記バナーのクラウドワークスなどに発注すれば済んでしまします)
    会社組織にでもしない限り人を雇う必要はありません。

各業種の固定費について

固定費についてもお店を構えなければいけない飲食・小売業に比べ、自宅の一室でも始められるネットビジネスは本当にコストがかかりません。資金的なリスクだけで捉えるとネットビジネスは魅力的です。

一番の問題はビジネスとして成り立つまで、どのくらいの時間がかかるかというところです。

飲食・小売はなるべく小さくはじめることをお勧めします。思い描いた素敵なショップではないかも知れませんが、大きくすることは収益が上がれば簡単なことです。今は小さくはじめる時代です。



飲食業の原価率を改善する方法

飲食業の原価率の考え方

飲食業の原価率の考え方は一品一品の原価ではなく、お店全体として(グロスで)捉えることが大切です。原価率(仕入)の高いメニューもあれば逆に低い(安い)メニューも混在しています。そんな複雑な原価構造ですがより改善する策をお伝えします。

原価率改善に今すぐ取り組むこと

まずは今日から取り入れて欲しい野菜の仕入れの改善から。

地元の農家さんと繋がりを持って、B品(廃棄品)を安く買い取ってください。味や新鮮さに問題がなくても形が悪いものははねられてしまいます。飲食店にとっては調理するので、形は関係ないものがほとんどです。まだ取り組んでいない方は、農家さんも廃棄ではなく売れたほうがいいのですから飛び込みでも交渉はまとまりますので是非取り組んでください。

食材廃棄ロスについて

食材のロスはお金を捨てていることと同じです。どの食材にロスが出ていますか?ロスが出る場合は食材を使って新たなメニュー開発をするか、売り切れ御免の商品とするかの二択です。おそらく違うメニュー開発でのロス削減は既に取り組んでいるでしょうから、発注を抑えて売り切れごめんにするのが効果的かと思います。

※食材の日付管理(付箋などで仕入日を記載するなど)。メニューの食材量の管理(ポーション)は、すでに行っているのが前提です

フードとドリンクは別々に

フードとドリンクは部門別の売上・仕入に分けて管理すべきです。合わせて原価率を出すと検討する資料になりません。特にコロナ禍で宴会が減った以上ドリンクの出る比率は大きく変わっているはずです。生ビールや輸入物の瓶ビールのように原価の高いドリンクもあればなおさらです。

光熱費をどう考えるか

光熱費(電気・ガス・水道料金)については私は間接的に原価に含めます。直接の仕入れとは別にもう一つの原価という考え方です。注文いただいた調理によって生じる費用ですから商品の一部として捉えています。売上に対して何%の光熱費か把握することで、原価改善というよりも店舗全体の経営計画などの際に役立ちますからぜひ取り入れてください。

原価率の高いメニューは悪か

逆に原価の低いメニューが善でしょうか?原価の高いお刺身や季節ものについては積極的に集客用に使っていると思います(あくまで売り切れ前提の発注量で)今は非常に判断の難しいところですね。

参考までに、流行る飲食店の条件というものが昔からあって「看板メニューが三つあること」と言われています。いつも季節の限定メニューがあるというのもその一つに入ります。

アパレル業(小売業)の原価率を改善する方法

原価率1%の金額の重みが違う

扱う商品単価にもよりますが、飲食業やサービス業・ネットビジネスなどよりも売上金額が立ちやすい業種です。ですから原価率が1%違うだけで金額に換算するとそのぶん莫大な違いが出ます。それともう一つ、スピード感が肝心な仕事です。

まず覚えていてください

アパレルを始める方は生鮮野菜や新鮮な魚を扱っていると思ってください。四季があるので三ヶ月が商品寿命かと思いがちですがプロパー(定価)で販売できる期間はもっと短く、実際売れていくのは入荷後二週間ほど。長くて三週間くらいと思っていてください。

原価計算は季節ごとに

商品の仕入れが販売価格の60%だとしても、セールでの処分や福袋での処分などで利益は圧縮されます。つまり仕入の掛け率が原価ではありません。季節単位で在庫をとって原価計算をしましょう。慣れないうちは春と秋は短いので「春・夏」「秋・冬」の2シーズンで行ってもいいと思います。

適正の在庫はどのくらいか

店頭に商品がないとはじまらないので「商品完売」ということはあり得ません。ではどのくらい店頭に在庫があればいいのかというと、定価で売れる期間は月商の1,5ヶ月分が目安で、セール期の月は1ヶ月分が適正と言われています。セールが終わる頃には店頭商品が薄く感じられないと早急に改善が必要です。

セールについて

セールやそれでも売れ残ってしまった商品は福袋商品として販売するのですが、福袋はいいのですがセール品の予約受付はやめましょう。これは自ら定価で販売できる機会を逃している行為です。また、必ずそうした情報は回りますから特定のお客様だけというわけにはいかなくなるでしょう。

アパレルの原価低減で一番肝心なこと

基本的なことをお伝えしてきましたがこうした取り組みはきちんと行いつつ、アパレルで一番肝心なのは経営者の掛け率の交渉以外ありません。取引年数や取引金額によって下がっていくものですが、熱意と約束を果たすことの繰り返しで他の店舗よりも早く実現できます。
仮に5%変わっただけで金額にしたらどのくらい違うでしょうか?これこそ経営者にしかできない仕事です。

雑貨を扱うときは別部門で管理しましょう

雑貨や小物・バッグ類は、流行色が強くない限り賞味期限はそこまでシビアではありません。こちらも含めてしまうと原価率が見えにくくなるので、主要取り扱いのアパレルとは別に売上・仕入れを管理するようにしてください。

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アパレル業で起業を目指す!

ネットビジネスの外注費率を改善する方法

外注を利用するハードルを決めておく

ネットビジネスにおける原価とは、設けるとしたら外注費以外にありません。起業するネットビジネスが、通販かプラットフォームを作成するなどの大がかりなサービスでない限り一人で行いましょう。つまり自分の労働以外に原価(外注費)が発生するのは先のことです。どのタイミングで外部に依頼するか、具体的な基準を設けておくといいでしょう。

発生しやすい事案

デザインに関しては立ち上げから購入という形で費用がかかりやすい分野です。それは写真なのかイラストなのかサイトの雰囲気や好みによると思いますが比較的発生しやすいです。こうしたサイトの構成要素は原価と呼べるものですね。

副業から始めることをお勧めします

ネットでのビジネスは副業から始めることをお勧めしておきます。リスクが無い反面、とにかく時間と根気が必要です。収益という結果が出るまでは時間を作って副業から始めるビジネスモデルです。

ソフトやサービスなど

少額で小さく始められるのがネットビジネスのいいところですが、かかる費用といえばパソコンやデスク、付随するソフト、利用するサービスなどありますがどれも原価ではありません。参考までにこれは資産になります。

飲食・アパレル・ネットビジネスの原価率まとめ

今回は原価率についてお伝えしましたが、それぞれ全く違う業種ですから他の業種と比べてもまったく意味がありません。それぞれ営んでいく事業のポイントをしっかりつかんで頂ければ幸いです。これから立ち上げる起業家の方でしたら店舗の看板にブランド力がないので自分の店舗名をアピールしてもあまり効果はありません。まずは内部的にしっかり見直すところがないかチェックしてください。
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