「とにかく経験を積みなさい」「経験が足りない」と誰もが口にします。(僕もいろんな記事で何度も書いてますが…)
若いうちは生きてきた時間が短いのだから経験が少なくて当たり前です。
僕も若い頃はそんな理由から経験なんて関係ないと思っていました。
いま、起業して20年以上経つと経験の大切さがよくわかります。
では実際にどんな経験が大切かといえば「失敗経験」です。
知識のように「教えられる」ものではなくて、失敗は痛みとともに「学べる」から身につくのです。
仕事の勘が働く時って、そうした苦い経験が身に染みているからです。
失敗の痛みから勘が生まれる
今まで失敗した事例
- 口約束で失敗する(契約書の大切さを知る)
- 小さなミスを軽く考えて失敗する
- 相手のルールを知らないことから失敗する
- 自惚れ(勘違い)から失敗する
地方から大都市へ仕事に行くと、契約・時間の厳しさに驚きます。
大きなミスや損失を招いて初めて気づきます。
仕事も取引先の相手もナメていた罰です。
のんびりした風土に慣れ、どこかしら知り合いがいるから何とかなると、甘えて仕事をしていたことを痛感します。<
口約束で失敗する(契約書の大切さを知る)
取引の現場で了解を得て地元に帰ってきても、いざ商品が届くと条件が違ったことが何度あったでしょうか。
確認の電話を入れても「やっぱりまだダメだった」というような回答。
「それを見込んで何かをしてた」なんて言っても後の祭りです。
ビジネスは契約社会だと頭の中ではわかっていても、実際に痛い目に遭わないと大切さに気づかないものです。
起業するといろんな契約書にサインすると思いますが、事故があった時にトラブルにならないためのものです。
契約書によっては、注意事項が小さな文字でビッシリ書かれているものもあり目を通すのが嫌になる気持ちはわかります。
賃貸契約や取引契約などは、だいたい同じ内容ですから一度内容を理解したら次回から飲み込みも早くなりますよ。
小さなミスを軽く考えて失敗する
昔、楽天市場で「福山雅治」という題名のメルマガを出しました。
お客様に楽しんでもらっていたので軽い気持ちでこのタイトルにしたところ、担当者からすぐ連絡が入りました。
色々あってしばらく細かいサービスの利用停止。
最悪、強制退店だったと後で聞かされてゾッとしました。
毎月数千万販売していたサイトが急に無くなるのです。
たまたまこの時はサービス停止でラッキーでしたが、もう二度と安易にやらないことを誓いました。
「このくらいのミスは謝れば何とかなる」なんて軽く考えていると、とんでもないしっぺ返しが来ることがあります。
これは過信し始めると起こりやすい失敗です。
このくらい実績を出しているから大丈夫だろうと、勝手に自分の都合のいい解釈をしてしまいがち。
いつからそんなに偉くなったんだとガツンと叱られた気分になります。
いくら実績があろうとダメなものはダメなのです。
相手のルールを知らないことから失敗する
若いうちはやる気と体力で何でもできる気になります。
決して悪いことではありませんが、予備知識を持たずに行動するととんでもない失敗をすることがあります。
アパレル時代に買い付けではじめて海外に行った時。
何事も経験だとツアーや団体などを利用しませんでした。
単独だからこそとてもいい経験になったのですが、違う国のルールも知らずに飛び込んでたくさん失敗しました。
日本人向けの問屋やショップならこちらに合わせてくれるのですが、そうしたところは割高で買い付けに行く意味が半減します。
買い付けに行くからには、ダウンタウンや日本人が立ち寄らない所を探します。
キャッシュを持ち歩くこと自体で怖い目に遭ったのと、キャッシュじゃビジネスにならないこともあります。
もう海外は20年以上前からカード社会なのです。
掛け仕入れなどは日本独自の取引で、その場で決済が当たり前です。
しかもカードでなければいけないなんて…。
さらに後日発送など依頼したらとんでもないものが届きます。
きちんと準備する大切さが身についていれば、カードの限度額を高く設定したり現物をたくさん持ち込むキャリーバッグを用意したり、関税用の書類の書き方を学んだり…
思い出すだけで、まだまだたくさん無駄なことをしていました。
海外に限らず、準備不足・知識不足でどれだけ失敗したことか。
その取引でのルールをしっかり学んでおかないと、時間と費用をかけた失敗経験になる確率が上がってしまいます。
自惚れ(勘違い)から失敗する
感じのいい取引先やメーカーが、創業まもないうちや規模が小さいうちは応援したくなるものです。
人と人とでビジネスをしているのですから当然です。
しかし先輩気取りで、手に余るような応援はどちらのためにもなりません。
業績が上がらないのは、どこかに理由があるはずです。
その理由を一緒に探して改善していくことが本当の応援です。
売れないモノを仕入れてお客様に紹介すると品揃えの魅力が全体的に下がりますし、取引先も売れ筋だと勘違いしてまた作ってしまいます。
自分に対して自惚れてしまったことが招いた失敗の連鎖です。
「問題の本質」をじっくり探ることの大切さを学びました。
勘が働くようになる
事業とはアイデアと実行、そして結果の振り返り。この繰り返しです。
新しい試みは8割くらいの確率で失敗します 笑。
成功するのは10個アイデアを実行しても1つか2つでしょうね。
それでいいのです。8割の失敗がいいノウハウに変換されています。
一時は資金も時間も無駄にしますが、どうしたら成功したのか振り返ることで「次は失敗しない」という財産を得ているのです。
ピンと来る。ピンと来ない
貴重な失敗経験が同じ事案ではなくても、どこかで勘として働き出します。
ピンと来る時・来ない時って、経験が無意識のうちに働くのでしょう。
心と体で痛みを覚えているのでしょうね。
ちなみに簡単に成功した時の経験はほとんど記憶に残りません 笑。
失敗を繰り返して苦労をして成功すると初めて記憶に残ります。
また成功すると思う才能
新たな試みはこれだけ確率が悪くても、また次に行動する時は成功すると思ってトライするモノです 笑。
これこそが経営者として、かけがえのない必要な才能です。
たくさんトライをすることはイコールほぼ失敗することでもありますが、決して懲りないことです。
小さい頃の成長痛みたいなもので、必要な痛みなんです。
マネている間に経験も積むこと
いいとこ取りと経験不足
先輩の経営者たちは、誰しもたくさん失敗経験を積み重ねています。
目に映るものは、苦労して掴んだ貴重な成功事例だけです。
だからこそ創業まもない頃は、素敵な目標となる先輩を見つけてどんどんマネからはじめるべきなんです。
貴重なノウハウが無料です
見よう見まねで「どうしてこれでうまくいくのかわからない」といった理解不能なことにもしっかり意味はあります。
自分で経験していないからわからないだけです。
真似ているうちに気づくかもしれませんし、深く考えるうちにわかるかもしれません。
とにかくマネは無料です。最初はいいとこ取りでいいんですよ。
先輩が時間をかけて行き着いたところまで案内してくれています。
その間に経験を積むこと
いいところをどんどん取り入れても見た目だけになります。
いつまでもマネのままでは自分の実力はつかないので、決して自分のカラーにはなりません。
結局は自分もアイデアを出して行動することです。
真似ていたことの意味も理解できるようになるでしょう。
理解してはじめて自分なりにアレンジできたりするのです。
お店のレイアウトも、サービスもネットのデザインもみんなそうです。
マネからはじめてアレンジ出来るようになって、はじめて価値が生まれます。
経験を積むことのまとめです
- 口約束で失敗する(契約の大切さ)
- 小さな事案を軽く考えて失敗する
- 相手のルールを知らないと失敗する
- 自惚れから失敗する
- 失敗経験から勘が働くようになる
- マネからはじめて経験を積むこと
若いうちは何でも出来るというエネルギーがあって怖いもの知らずです。
そのエネルギーはとても大切。
跳び箱と同じで最初から飛べる高さもあるでしょうが、大事なのはなかなか飛べない高さにチャレンジすることです。
失敗を重ねて飛べるようになると、しっかりコツがわかるものです。
年を重ねて今は、若い従業員にいかにもう一段高く飛べるようになるかばかり考えるようになりました。
同じ努力をしたから簡単さも辛さもよくわかります。
飛び越える実力をつけるためには、成功するまで経験させるしかありません。