【個人事業主から法人成り】法人化の適切なタイミング:メリットとデメリットの解説

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そろそろ会社(法人)にした方がいいかな〜という相談はよくあります。

個人事業から法人化することを「法人成り(なり)」といいます。

法人成りする適切なタイミングと、メリット・デメリットをお伝えします。

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代表的な法人成りのメリットとデメリット

法人成りでの代表的な5つのメリット

  • 所得の水準が高額になれば節税になる
  • 退職金の支給対象になれる
  • 社会的信用度が増す
  • さまざまな費用を会社経費にできる
  • 消費税の免税事業者となれる

法人成りでの代表的なデメリット

  • 社会保険への強制加入義務が発生します
  • 赤字でも法人税・法人住民税がかかる(均等割)
  • 複式簿記が必須になり決算もほぼ外部に依頼することになる
  • 法人登記費用
  • 役員報酬を年度内に変動させることができない

法人成りでの代表的なメリット

所得の水準が高額になれば節税になる

ある程度収入が増えてくると法人成りすることで、個人事業主よりも税負担が軽くなる分岐点があります。

これが法人化する最大の理由です。

基準については後述しますが、ざっくりとした目安は毎月の収入が100万円(所得ではなくて)に近づいたら法人化した方がいいですよ。

退職金の支給対象になれる

もう一つの大きなメリットは、事業主から役員になることで退職金の支給ができるということ。

もちろん経費として計上できますので、事業継承した後に会社に負担をかけることもありません。

退職金が保障されていない起業家としては、法人化は一つの到達目標にしてもいいかもしれませんね。

将来なんの保障もない個人事業主にとってはとても大きいです。

社会的信用度が増す

一昔前は、法人化の理由といえばダントツこの社会的信用度の獲得。

その根拠としては資本金を積んで法人化するので、法人であれば最低限の資金的信用があったからです。

しかし現在、資本金1円からでも法人化できるようになりました。

以前よりも資金的な信用は低くなりましたが、法人化による決算書の精査や議事録作成など公的な部分が増えるので個人事業より信用はつきます。

顧客が対会社などの業種であれば、法人としての信用は必要ですね。

さまざまな費用を会社経費にできる

今まで当たり前のように事業主のものを使っていた場合、会社に売却することも貸し出すことも可能です。

例えば自宅を事務所にしていた場合は家賃を徴収できます。

車にしてもパソコンにしてもたくさんあるはずです。

そして経費で最も得なのは保険でしょうね。

いろんな保険がありますが法人の積立型だと、一般的に半分は経費・半分は積立といった商品もあります。

保険商品も新しいものが出てきていますので、詳しくは取引のある保険会社に尋ねてみてくださいね。

消費税の免税事業者となれる

法人設立後は基本的に2年間は免税事業者となります。

(2年目については初年度の前半6ヶ月の課税売上が1,000万円以下の場合)

消費税納税は金額的にも大きく、事業の黒字も赤字も関係ありません。

これは税金を預かっているということからなのですが、いざ納税となると備えていなければ大きな資金負担になります。

法人成りすると消費税の免税期間を利用することができます。

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法人成りでの代表的な5つのデメリット

社会保険への強制加入義務が発生します

社会保険加入をメリットに挙げる人が多いですが、かなりの費用負担になるのでデメリットに挙げさせてもらいます。

健康保険と厚生年金は国保に比べて将来の補償は大きいのですが、費用負担も大きく受給時にどれだけ受けられるか不透明です。

保険料は役員は従業員もすべて半分は会社の負担となります。

社保と消費税は経営上の資金繰りに大きな影響を与えます。

赤字でも法人税・法人住民税がかかる(均等割)

業績が悪く赤字決算になっても、法人の場合は均等割という税金の納付が必要になります。

資本金が1,000万円以下で従業員が50人以下であれば7万円になります。

また、黒字決算の場合は利益の30%くらいが法人税となります。

役員報酬を低く設定していると、法人税でたくさん納税が発生しますので新年度を迎えるときにしっかり設定しましょう。

新年度での取り組みや機械導入などの事業計画を踏まえて設定して下さいね。

複式簿記が必須になり決算もほぼ外部に依頼することになる

法人での経理は複式簿記が義務付けられています。

単純に売り上げや経費などによる事業の成績だけでなく、資産や負債の状況を正確に計上しなければいけません。

金融機関などの対外的な提出資料として必要になるからです。

決算書も個人事業とは比べものにならないくらい細分化されますので、個人事業主自身が作成することはほぼ困難となります。

費用の面でいえば、会計事務所を利用する費用が掛かることになります。

ただし専門家に依頼することは経営的なアドバイスや情報も得られるので、結果的には役立つことの方が多いでしょう。

法人登記費用

法人設立にかかる費用は30万円程度になります。

費用のほとんどは役所に支払う登録免許税と手数料・収入印紙です。

ざっと25万円ほどで、あとは法人の実印を作ったり専門家への依頼料金です。

(専門家に依頼した際は、相場的に5万円〜高くても10万円程度です)

多少上下しますが、30万円程度が必要だと覚えておくといいでしょう。

役員報酬を年度内に変動させることができない

先ほども述べましたが、役員報酬は年間定額なので事業が好況で増額したとしても経費として認められません。

利益から法人税が決まるので、利益操作はできないということです。

これはボーナス(役員賞与)も同じで経費にはなりません。

逆に役員報酬を高く設定しすぎて赤字を出してしまうと、金融機関などへの信用を大きく失ってしまいます。

新年度がはじまる前に、会計士などとシミュレーションして役員報酬を決める必要があります。

特に新たな資産の購入や買い替え、事業の変化がある時は要注意です。

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法人成りする3つの適切なタイミング

消費税と収入と事業から判断する

個人事業主から法人成りするタイミングで多い事例は3つです。

いずれかの状況に置かれたら法人成りを検討する時期になります。

どのタイミングを選ぶかは経営者の判断次第ですので参考にしてくださいね。

消費税の納税からタイミングを図る場合

課税売上高が年間で1,000万円を超えると、いよいよ2年後には課税事業者となり消費税の納税が生じます。

法人成りするということは、個人事業主とは別人格(法人格)になるので個人事業主時代の課税売上高に影響されません。

課税事業者になったタイミングで法人成りをすると、新たに2年間の免税期間を受けられることとなります。

消費税の免税事業者をもう2年間継続するために、このタイミングで法人成りをする個人事業の方多いです。

注:資本金1,000万円以上で法人設立すると初年度から課税事業者です。

収入による適切なタイミング

税金の面から法人成りした方がいい目安は、個人所得が年間で600万円とも800万円ともいわれます。

法人税が利益の30%程度なので、個人の税金と比較して単純な目安になります。

配偶者や扶養家族が多かったりもしますから、単純な目安として毎月の収入が100万円に近づいたら検討しましょう。

さまざまな控除や副収入を入れてのシミュレーションが必要になります。

この段階まで来たら、会計士などの専門家と契約することをお勧めします。

事業として適切なタイミング

大手企業との取引を始められるチャンスだったり、公共事業に参入する際には法人成りする必要があるでしょう。

前述した社会的信用という面からです。

この場合は上記の税金からではなく、事業として一皮剥けるためです。

費用負担もあり社会的責任も増しますが、事業が成長した証です。

こうしたケースの法人成りは理想的といえるのではないでしょうか。

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*余談です:よくある法人成りの勘違い

完全に余談になりますが、「会社経営者」という肩書きに憧れて法人成りをしようとする人がいます。

毎年どんなに少なくても必ず一人は相談にきます 笑。

僕も結婚式でシークレットブーツを履いたので、大きく見せたい気持ちはわかります 笑笑。

起業した途端に、なぜか不釣り合いな外車を購入するようなものです。

もしまわりにいたら全力で止めてあげてください 笑。

法人成りタイミングのまとめです

  • 法人成りでの代表的なメリット5つ
  • 法人成りでの代表的なデメリット5つ
  • 法人成りへ3つの適切なタイミング

法人成りの相談は、とても嬉しい相談です。

はじめから携わっていると巣立っていく卒業式の感覚です。

その頃には人脈も増えて、当初とは事業も大きく変わっていたりします。

必ず努力して行動し続ければ到達できます。

これから起業を目指す方も、まだ起業仕立ての方も必ずやってきますから当面の目標にしましょうね。

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